桜並木と味のなくなったガム
今朝、犬と散歩をした。
桜の並木を通った。
満開だ。
坂口安吾の小説を思い出す。
すべては幻のような気もしてくる。
けれどあと何度この風景を見ることができるだろう?
新しく事を始めるのに不安はあるが
悔いのないように生きたい。
我々の時間は過ぎ去っていくものなのに
時計を見ているとクルクルとまわっているように思える。
朝が来て夜になりまた朝が来る。
繰り返しのような錯覚をおこすけれど
時は過ぎ去っている。
誰に遠慮をする必要もない。
極端に将来にたいして悲観する必要もない。
桜の花はとても現実的じゃないけど
生きていることを確認させてくれる。
「あと50回見られるかな?」
「ビミョーだな~」
そんなふうに見る者の死をさりげなく示す。
不思議だ。
マツタケがいくら好きでも
毛ガニがいくら好きでも
「あと何回食べられるだろうか?」なんて考えない。
幼い頃、ケーキやメロンをよそからいただくと
目を輝かせて食べたものだ。
そんな私を見て祖父は自分の分をわけてくれた。
「いいの?」ってきくと
「もう十分食べた。長く生きてるから」と言っていた。
今、息子がガムを味がなくなっても噛み続けている。
「もう、出せ」と言ってもきかない。
おそらく息子の過ごしている時間の密度は私より濃い。
私もあんなふうにもう一度ガムを噛み続けてみたい。
味のなくなったガムを噛むように
これから生きてみよう。
桜の並木を通った。
満開だ。
坂口安吾の小説を思い出す。
すべては幻のような気もしてくる。
けれどあと何度この風景を見ることができるだろう?
新しく事を始めるのに不安はあるが
悔いのないように生きたい。
我々の時間は過ぎ去っていくものなのに
時計を見ているとクルクルとまわっているように思える。
朝が来て夜になりまた朝が来る。
繰り返しのような錯覚をおこすけれど
時は過ぎ去っている。
誰に遠慮をする必要もない。
極端に将来にたいして悲観する必要もない。
桜の花はとても現実的じゃないけど
生きていることを確認させてくれる。
「あと50回見られるかな?」
「ビミョーだな~」
そんなふうに見る者の死をさりげなく示す。
不思議だ。
マツタケがいくら好きでも
毛ガニがいくら好きでも
「あと何回食べられるだろうか?」なんて考えない。
幼い頃、ケーキやメロンをよそからいただくと
目を輝かせて食べたものだ。
そんな私を見て祖父は自分の分をわけてくれた。
「いいの?」ってきくと
「もう十分食べた。長く生きてるから」と言っていた。
今、息子がガムを味がなくなっても噛み続けている。
「もう、出せ」と言ってもきかない。
おそらく息子の過ごしている時間の密度は私より濃い。
私もあんなふうにもう一度ガムを噛み続けてみたい。
味のなくなったガムを噛むように
これから生きてみよう。