算数オリンピックのパイオニア 個別指導のりんご塾

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りんご塾通信

桜並木と味のなくなったガム

今朝、犬と散歩をした。

桜の並木を通った。

満開だ。

坂口安吾の小説を思い出す。

すべては幻のような気もしてくる。



けれどあと何度この風景を見ることができるだろう?

新しく事を始めるのに不安はあるが

悔いのないように生きたい。



我々の時間は過ぎ去っていくものなのに

時計を見ているとクルクルとまわっているように思える。

朝が来て夜になりまた朝が来る。

繰り返しのような錯覚をおこすけれど

時は過ぎ去っている。



誰に遠慮をする必要もない。

極端に将来にたいして悲観する必要もない。



桜の花はとても現実的じゃないけど

生きていることを確認させてくれる。

「あと50回見られるかな?」

「ビミョーだな~」

そんなふうに見る者の死をさりげなく示す。



不思議だ。

マツタケがいくら好きでも

毛ガニがいくら好きでも

「あと何回食べられるだろうか?」なんて考えない。



幼い頃、ケーキやメロンをよそからいただくと

目を輝かせて食べたものだ。

そんな私を見て祖父は自分の分をわけてくれた。

「いいの?」ってきくと

「もう十分食べた。長く生きてるから」と言っていた。



今、息子がガムを味がなくなっても噛み続けている。

「もう、出せ」と言ってもきかない。

おそらく息子の過ごしている時間の密度は私より濃い。

私もあんなふうにもう一度ガムを噛み続けてみたい。



味のなくなったガムを噛むように

これから生きてみよう。

書いている人

田邉 亨 塾長

滋賀県出身、ニューヨーク市立大学及びぺンシルバニア州立大学で学び、その後大手国際特許事務所、学習塾を経て、現在は彦根市でりんご塾を5教場運営している。2010年より、りんご塾として算数オリンピックに参戦、2014年に小3部門で金メダルと長尾賞を受賞。
2017年は小6部門と小3部門の2冠を達成し、現在は彦根市を中心に幼児から小学6年生までを集め算数とそろばんに特化した塾を展開中。長年、沢山の児童を指導してきた経験から、早い段階での算数の教育の重要性や、算数好きなお子様を育てる家庭のあり方・関わり方等についても全国で講演会を行っている。著書多数。

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