算数オリンピックのパイオニア 個別指導のりんご塾

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りんご塾通信

全国の半分の塾が消えてなくなる日 2

塾というものが消えてなくなるとは考えにくい。

けれど半分になってしまうことは考えられる。



ひとつは塾以外が塾の役割を果たすようになること。

例えば学校。

学校は生き残らないといけない。

生徒数が減るなら一人当たりの料金をあげなければならない。

そうか、塾へ払っているお金を学校に払ってもらえばいいのか、

ということで学校が塾の役割をする。

これはけっこうコンセンサスを得やすい。

本来の姿に戻すみたいなものだからだ。



それでも学校はいい。

塾と学校は基本的に友好的だからだ。

ちょっとやっかいなのが他業種からの参入だ。

塾に参入ならいいと思う。

それだと塾の方が経験があるから。

けど嫌なケースはこれから大手の塾がどこか経営が危なくなって

他業種に買収された場合だ。

普通に塾を続ける場合はいいけれど

職人技をマニュアル化されるのがいちばん怖い。

経験の浅い人が経験豊富な人と互角に戦えるイメージだ。



ところでかつては服というものは着る人にあわせて作るものだった。

それが今では自分に合う服を選ぶ時代になって久しい。

っていうか生まれたときからそうだった。

それは商品が多いからそういうことができる。




教育はひとりひとり違う教え方がベストだ。

40人の生徒は先生を選ぶことができなかった。

それが塾というものが増え

自分の好きな先生を選べるようになった。

選べない時代から選べる時代へと移り変わった。



しかしそれでもまだラインナップが少なすぎる。

それは授業がライブだからだ。

けれどいま、DVDというものが普及した。

DVDを見ながら先生を選ぶ時代がくるかもしれない。

っていうか授業はDVDでいいじゃないか、

チューターがそばにいてくれればいいじゃないか、

そういう選択肢もこれから増えるだろう。




それでさっきの職人技のマニュアル化なのですが

これがいちばんイヤです。

嫌なことをやられる、というのは必然です。

ですから避けられないことです。



いろいろな方がDVD教材を作り始めてらっしゃるのは

いろいろなことに気付いてやっておられるのだと思います。



歴史に詳しいわけではないのですが

武田軍と信長の長篠の戦をいつも思います。

DVDやネット教材は使えない、という意見が多くあります。

営業の方はおそらく毎日聞いているでしょう。

「あのね~、対人間の仕事なんだよ。

 人は機械からは学べないんだよ。」



おっしゃることはすごくよくわかるのです。

けれど問題が違うのです。

「おまえ、パソコンなんて子供に持たせたら

 すぐ遊ぶぞ。機械モンはダメなんだって」



かつて、鉄砲は使えない、と言われた。

一発目さえよければいいんだ、と。

信長は使えない理由を考えなかった。

どのようにすれば使えるようになるかを考えた。



今、DVDやネットで教材をつくろうとされている方々は

みな同じだと思う。

どのようにしたら使えるようになるのか、

模索して、試行錯誤して、前進していると思う。



我々がいちばん恐れるもののひとつは

自分達が今まで身につけてきたスキルや知識が

新しいテクノロジーの前で陳腐化されてしまうことじゃないだろうか?



けれどこれはもう仕方のないことだと思う。

誰でも言ってることなのですが

強いものが生き残るのではなくて

変化を感じ取り

自分を変化させる力があるものが生き残る

ということだと思います。



残念ながら学校や塾でかつて習ったことは役に立たない。

皮肉なことじゃないですか。







書いている人

田邉 亨 塾長

滋賀県出身、ニューヨーク市立大学及びぺンシルバニア州立大学で学び、その後大手国際特許事務所、学習塾を経て、現在は彦根市でりんご塾を5教場運営している。2010年より、りんご塾として算数オリンピックに参戦、2014年に小3部門で金メダルと長尾賞を受賞。
2017年は小6部門と小3部門の2冠を達成し、現在は彦根市を中心に幼児から小学6年生までを集め算数とそろばんに特化した塾を展開中。長年、沢山の児童を指導してきた経験から、早い段階での算数の教育の重要性や、算数好きなお子様を育てる家庭のあり方・関わり方等についても全国で講演会を行っている。著書多数。

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