広場のアスレチック遊具が吉野ヶ里遺跡を思わせる
小6と夏季講習をしている。
弥生時代からやっている。
稲作についてのところだ。
窓の外を見ると緑の山が赤みがかっている。
稲の穂が低くどこまでも広がる。
目の前の広場のシロツメクサも地面を覆っている。
白いフェンスがオレンジ色に染まってきた。
広場のアスレチック遊具が吉野ヶ里遺跡を思わせる。
近くの風景は暗く
遠くの風景は赤く浮かび上がる。
雨水をたっぷりと含んだ雲がジワジワと動いている。
この風もこの色もこの湿気を含んだ空気も
弥生時代といったいどこが違うというのだろう。
自分が今どの時代にいるのかわからなくなる。
砂利道を削る音をたてて息子を乗せた車が入ってくる。
ランニングシャツ姿の父が車の窓をおろして言う
「どうしても買えってきかんのよ」
息子はオガクズのはいった容器を抱えている。
中には3本の角を持つアトラスオオカブト
黒光りする甲冑。
細い足を動かす黒い宝石。
弥生時代も子供はカブトを手にして瞳を輝かせていたろう。
セミを追いかけ、メダカをすくい
やっと捕まえたマメンボが指先から空に舞い上がる。
言葉を失う。
雨を十分に含んだ地面に根を下ろし木々が緑の葉を広げて
湿り気のある空気を吐き出し、
青臭いにおいをぷんぷんとさせると
自分が田舎に住んでいるのか
弥生時代に生きているのかわからなくなるときがある。
明日は聖徳太子のところをやろう。